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introduction

時は1945年。戦争で敗れた日本国内全域に、何十万人もの占領軍が溢れ、建造環境と心理的風景を塗り変えていた。占領軍が流入したことによる影響は、終戦後何年間にもわたって減少することはなかった。そして、外国人軍人によって、ある人々の存在が浮かびあがったのである。その人々とは、彼らの欲望の対象であった「パンパン」である。

『Occupying Power』は、個人史と国際関係の相関性、という今まで多くの研究者が見過すごしてきた現象を明らかにする。性労働者が日本の地位低下を象徴する一方で、彼女らのわずかなドルの収入が、日本の経済復興を後押しした。しかし、軍人向けの性労働者は、性病増加の原因として誹られ、混血児を産んで日本人の血を薄めたといって非難の標的とされたのである。1956年、売春に反対する日本で最初の法律国家法が制定された。保守派とともに、政治的権限を得た女性国家議員が改善と再建に取り組んだにも関わらず、この法律は予期しない影響を及ぼすことになった。長い伝統のある性労働の規制が終わったことによって、性労働者は表向きには存在せぬ、弱い立場に陥ってしまったのである。日本占領軍と、それがジェンダーと社会に及ぼした影響について、重要かつ充分な研究がなされていない局面が、この厳密な歴史研究により明らかにされる。本著は、日本の強制的な性奴隷の歴史、アメリカ軍によるレイプに対する非難、アメリカ軍の海外基地に対する反対、性的人身売買を含む、数々の論争の条件を転換することを目的としている。

**************以下書評******************


"サラ・コブナーは、巧みに、思慮深く、そして学術的な厳密さをもって繊細なテーマに取り組んだ。日本史の専門家に限らず、戦争と占領、文化を越えた人間関係に興味がある者は誰しも、彼女のこの重要な著作に興味をそそられるだろう。"
—(Ian Buruma/バード・カレッジ)

"数カ国の公文書調査に基づく理論に裏付けされた、非常に内容の濃い本である。連合軍の日本占領についてこれまで探求されていなかった側面、つまり、連合軍の性についての政策に新しい光を当てた研究である。"
—(Vera Mackie/ウォロンゴング大学)

"サラ・コブナーは、日本、アメリカ、そしてイギリスの公文書など、幅広い資料を活用し、日本史に関する先駆的な作品を書き上げた。今後長く戦後日本における性労働者の歴史調査の基準線となるだろう。それ以上に、20世紀の女性史、性、軍事占領についての重要な研究であり、その分野の世界中の研究者が注目をすべきである。"
—(William Johnston/ウエスレヤン大学)

"信頼できる綿密な研究がなされており、読者は日本人女性と戦後の占領軍との交流の新たな面を理解することができる。それだけでなく、混血児の受け入れが進まない一方で、国際社会における日本の道徳水準に国家的関心が高まった時期に、日本が国家としてのどんな見解を持っていたかをも理解することできる。"
—(入江昭/ハーバード大学)